Entries from 2007-01-01 to 1 year

「17歳の女性起業家」によるWhateverlife.com

Fast Company誌を読んでいたら、Whateverlife.comについての長文記事が出ていた。あんまり日本では知られていないので、ちょっと紹介。 9歳でウェブデザインを始めた少女Ashley Qualls。14歳のとき(2004年)に趣味で作ったサイトが、700万人のTeen Girlsを集…

「現代の若きエンジニアの物語」としても読める岡本かの子「老妓抄」

友人から勧められて、はじめて岡本かの子の作品を読んだ。 青空文庫でも読むことができる。 一行一行に凝縮された文章の濃さが味わい深い。読みどころ、面白さは別のところにあるのだが、時代を超えて今日的だと感動したのは、財をなした老妓が、出入りの電…

朝4時起きで順位戦をネット観戦中

「第66期順位戦A級2回戦 丸山 忠久九段−佐藤 康光二冠」 を観戦中。夏時間だと、こちらの朝4時は日本時間の午後8時なので、中盤から終盤までゆっくり楽しめてよい(午前4時50分現在でまだ52手、両者あわせて3時間以上持ち時間が残っている)。いい時代になっ…

人と違うことをする

人と違うことをする。あんまり誰もやっていないことならなおいい。それで同じようなことを誰かがあとからやり始めるなら、「その場所はどうぞ」という感じでまた別の新しいことを始めたくなる。特に心掛けてきたわけでもなくそう自然に生きてきたところを見…

中央公論2007年9月号 特集「「親」が壊れている」

最近の特集の中では抜群に面白かった。 平和に見えるけど本当は、今急激に乱世になったといえるのではないでしょうか。 という吉本隆明の言葉が強く印象に残った。これは「日本の家族を蝕む"第二の敗戦"」という吉本隆明と内田樹の巻頭対談の中の吉本の言葉…

二ヶ月で十行

「われわれはみな外国人である」(野崎歓)を読んでいたら、「ジャン=フィリップ・トゥーサンの文章」という1994年に書かれたエッセイにこんなことが書かれていた。 東京大学教養学部の主催で開かれたシンポジウムの際、彼は自作『カメラ』の冒頭十行をすらす…

サバティカル・コーチ

「ハーバード大学医学部留学・独立日記」からトラックバックをいただいた。 サバティカルの定義は次の通り。 サバティカル(sabbatical) A sabbatical is a period away from your normal routine - a time to immerse yourself in a different environment…

積み上がった書類の山を整理して

自宅の机の横に積み上がった書類の山(FAX、ゲラ、原稿・・・)を整理する(大半は処分する)ことにして、その中身を読むに、この一年半は(本業以外に)よく働いたなとつくづく思った。だから疲れているのだな。「ウェブ進化論」(昨年二月刊)が売れたことで、さま…

幼なじみと会い、父を思い出す

幼なじみの親友が、家族で我が家に遊びにきてくれた。 著書にサインして彼の息子たちにプレゼントしたが、そんなことをしながら父のことを思い出していたからだろうか、久しぶりに父の夢を見て早くに目が覚めた。 それで早朝から追悼文集を開いてみる。むし…

アジア国際学生将棋交流企画/AISEP(Asian Intercultural Shogi Exchange Program)

若手棋士のブログで盛んに紹介されているので企画を眺めてみた。 北京・香港(以上中国)・光州(韓国)・シンガポールから、将棋・シャンチー・チャンギに高い関心があり見識ある学生9名を日本へ招待し、日本国内の大学生および東京大学生スタッフによる交…

取り返しはつかない

深く深く共感する文章と出合った。 新潮9月号に掲載された養老孟司「追悼河合隼雄 取り返しはつかない」である。 河合隼雄さんの訃報を聞いた。病床におられることはわかっていたし、多くの方と何度か河合さんの病気の話はしたから、いまさら驚くことではな…

名人戦棋譜速報(月額500円)と「名局推薦」のすすめ

最近やっと少し時間ができたので、名人戦棋譜速報サイトに登録した(月額500円)。 http://www.meijinsen.jp/ 「名人戦棋譜速報」では、棋界の頂点を決する名人戦七番勝負はもとより、年間約600局にのぼる名人戦順位戦(A級〜C級2組)の全対局をほぼリアル…

英語圏の「独走」を許す「パブリックな意識」の差

フォーサイト誌6月号「シリコンバレーからの手紙」(130)に書いた「英語圏の「独走」を許す「パブリックな意識」の差」 http://www.shinchosha.co.jp/foresight/web_kikaku/u130.html が、ネット上にアップされました。 ・・・・・・・ 最近私が痛切に感ずる…

これは素晴らしい名講演だった

井上靖「利休の遺したもの」を聴いた。 気力充実の素晴らしい名講演だった。これまで聴いた講演の中でベストに近い。 話の内容から察するに「本覚坊遺文」完成を間近に行われたようだ。改めて「本覚坊遺文」を読んでみよう。長い年月をかけての大作の完成を…

GoogleがPostiniを$625milで買収

「Google to Acquire Postini」 Google Inc. (NASDAQ: GOOG) announced that it has signed a definitive agreement to acquire Postini, a global leader in on-demand communications security and compliance solutions serving more than 35,000 busines…

昭和十年の将棋観戦記

将棋名人戦は今年第66期であるが、第1期名人戦は昭和10年6月の花田長太郎八段対金子金五郎八段戦から、昭和12年2月の木村義雄八段対花田長太郎八段戦まで、足掛け三年の歳月をかけた「八段特別リーグ戦」(9名の八段の先後総当り、二日制・持ち時間各13時間)…

今日の短編(20) 小池昌代「タタド」(「新潮」07年6月号所収)

休暇は続く。今日は7月4日でアメリカはお休み。あいかわらず本を読んでばかりいる。 「タタド」は同時代の短編小説の中では群を抜いて面白かった。 文芸誌に載っている多くの短編小説を読むとき、まず最初の一ページを読んで、さらに読みたいと思うかどうか…

ドノソ「夜のみだらな鳥」

よし今度は短編小説でなく長編にいこうと、力が湧いてはきたが、果たして最後までいけるだろうか。前から、まとまった時間が取れたら読もうと古書店で買い求めておいたドノソの「夜のみだらな鳥」。邪道かもしれないがラテンアメリカ文学はいつも解説(鼓直)…

人間の一局 均衡の美

7月3日朝日新聞朝刊の将棋特集面「棋士の格かけた戦い 将棋名人戦 第66期順位戦」で、ファン代表ということで僕のインタビューが掲載された。棋力からいえばファン代表などおこがましい限りなのだが、ときどきこの欄で将棋のことを書いている内容が記者の方…

今日の短編(18) 多和田葉子「海に落とした名前」

久しぶりの休暇中。 他者の悪夢の中に迷い込んだよう。 「記憶がない。自分の名前がみつからない。手がかりはポケットの中のレシートだけ。スーパー、本屋、ロシア式サウナ・・・・・・。」 という帯の文章からは、主人公の「落とした名前」を探す物語が始ま…

今日の短編(19) 井上靖「生きる」(「石濤」所収)

本を読んでばかりいる。 「孔子」にとりかかる直前、著者最晩年の日常を綴ったもの。食道がん手術後、無意識のうちに何度も発していた言葉は家族によれば、 地獄はあの世にはない。若しあるとすれば、この世にある。 だったと言う。 それから三年という歳月…

吉田秀和「小林秀雄」(吉田秀和全集10所収)

音楽はどうにもこうにもからっきしダメなので、美術評論は読むのだが音楽評論だけは読まずに今日に至る。よって吉田秀和は絶対に読まないはずだったのだが、横浜逍遙亭がしばしばブログで盛んに勧めるので、音楽以外のエッセイや評論だけを全集から選んで三…

今日の短編(16) イーサン・ケイニン「アメリカン・ビューティ」

映画とは無関係の作品。それぞれに問題を抱えた二十七歳の兄と十九歳の姉と暮らす十六歳のまともな僕。父親は失踪して不在。母親と、その家に入り浸る母の友達を加えた、五人の緊張感に満ちた日常が淡々と描かれる。 兄貴は僕に、すごく大事なことをお前に教…

今日の短編(17) ウラジミール・ナボコフ「怪物双生児の生涯の数場面」

怪物双生児の短いが強烈な印象を残す一人語り。若島正新訳でナボコフ作品を読むと何かまったく新しい「日本語による不思議な作品」と接しているような感想を持つ。 たとえば冒頭でいきなりどきっとして引き込まれてしまう文章。 東洋の薔薇とも、白頭翁アヘ…

今日の短編(15) レイモンド・カーヴァー「愛について語るときに我々の語ること」

構想に一年ほど時間をかけ、この三ヶ月はそれだけに集中して没頭していた大きな仕事が終わった。あとは微調整だけだ。なんか終わったら世界の色が違って見える。ずっと頭の中が泥の海を這いずり回っていたからだろう。 この「短編小説」というカテゴリーは、…

将棋講演会「プロの最新戦法と名人戦七番勝負を総解説」

勝又清和六段がパソコンを使って懇切丁寧に最新戦法について詳解!ぜひご参加下さい。 4時間以上をかけて、じっくり解説します! 行きたいなあ。東京に住んでいたらなあ、と思う瞬間。DVD化希望。

海外に住んでも母国語中心に生きること

シリコンバレーに移って約一年という若い友人と話をしていて、ウェブ進化とグローバリゼーションの結果、海外に住んでいても「情報についてはネット」「食材などのリアルな物についてはグローバル物流」のこの十年の異常なまでの発展によって、「海外に住む…

「羽生」(保坂和志著、光文社知恵の森文庫)

この本が届いたらすぐに読み、その感想文を「黙殺された名著がここに蘇った」と始めようと思っていた。そうしたら「文庫版のためのまえがき」冒頭で著者保坂和志が、 実際、九七年に出版されたときにも、一般の新聞雑誌ではいろいろ取り上げてもらったが、将…

フューチャリスト宣言や茂木さんのことやはてなのことなどを酔っ払いながら書いてみる

なんとなく気が向いたので、酔っ払いながら、思ったことを思ったままに書いてみる。 今日は久しぶりに、茂木健一郎さんのブログから、講演等の音声の最近の分をまとめていろいろダウンロードして、聞くとはなしに聞こえてきた話に耳を傾けていた。 「フュー…

はてな取締役会音声、社員に全部公開した

先週は月曜午後から土曜朝まで、シリコンバレーではてな取締役会合宿。オフィスの会議室で、近藤の家で、カフェで、車の中で、食事をしながら、毎日毎日、はてなの経営課題について議論し続けた。 ベンチャーの毎日は一喜一憂、一進一退が当たり前。そんなマ…