今日の短編(18) 多和田葉子「海に落とした名前」

久しぶりの休暇中。
他者の悪夢の中に迷い込んだよう。
「記憶がない。自分の名前がみつからない。手がかりはポケットの中のレシートだけ。スーパー、本屋、ロシア式サウナ・・・・・・。」
という帯の文章からは、主人公の「落とした名前」を探す物語が始まるのかと思いきや・・・・
多和田葉子は、想像もつかぬことを書く人である。

海に落とした名前

海に落とした名前

読後、検索したら、管啓次郎氏のこの短編集への書評を発見。この短編の直前に読んでいたのが氏の「ホノルル、ブラジル―熱帯作文集」(この人の文章にはいろいろな意味で豊穣な時間が凝縮されているから好きだ)だった。偶然が楽しい。でも偶然は必然なのかもしれない。

ホノルル、ブラジル―熱帯作文集

ホノルル、ブラジル―熱帯作文集