村上龍「半島を出よ」

半島を出よ (上) 半島を出よ (下)
何せ書き下ろし1650枚の大作なので、読むのに時間がかかったが、日本へ出発する前に何とか(上)を読み終え、(下)を機内に持ち込んだ。おかげで機内ではあまり眠ることができなかったが、東京に着くまでに読み終えた。さすが村上龍。力技である。
齋藤美奈子クラスならば「批評自身が芸」という感じの文芸批評をこの本に対して書くだろうからそれはいいとして、こういう小説に対して書かれるだろう安易な批評にはほとんど何の意味もなかろう。
僕よりも先に「半島を出よ」を徹夜で読了したid:kunihiroishigurが、内容をばらさぬよう配慮しつつも僕に一言で言った感想が「凄かった。でも、もっと長くても良かったな」だった。確かに最後まで読んでみて、その意味がよくわかった。「北朝鮮の反乱軍が福岡を占領する」というシチュエーションにおける日本の姿の描写が、本書よりもさらに延々と続く今の3倍か4倍の長さの、長い長い小説を読みたかったなという彼の思いには、とても強く共感する。
東京では、会う人、会う人に「面白いから絶対に読んだほうがいい」と薦め、「どうせ読みそうもないな」という感じの反応の人に対しては、わざとべらべらと、冒頭からのあらすじを語り始めることにした。そうすると途中で、「もうやめてよ! 自分で読むから」という人が、その中の半分くらいいた。
この本は絶対読むべし。必ず何かTakeawayかあるはずだ。