前の「雑記帳」との連続性を保つために、「将棋の棋譜と観戦記」に関する過去エントリーをまとめて再掲しておく。<1/23> 第22回朝日オープン将棋選手権 観戦記
本戦第11局 ▲橋本崇載四段△森内俊之竜王
http://www.asahi.com/shougi/open22/k-honsen11-1.html
朝日オープンのサイトはレイアウトが変わって良くなった。各譜に指し始め図と指了図が入る新聞観戦記と同じスタイルになった。棋譜再生画面を動かさずとも普通に譜の流れを追うことができる。しかも駒の文字がいい。懐かしい。
「橋本四段がすごい格好で現れた。真夏のヒマワリを思わせる金髪パーマにジャージー風の黒いスーツ、これも黒いワイシャツのすそを全部出し、ワンポイントに銀色ネクタイ、靴下には万国旗がプリントしてあった。予選で堀口弘治六段、森下卓八段、富岡英作八段の順に破って本戦入り。「普通に指せば、誰にも負ける気がしない」と、威勢がいい。 シードされて今期初登場の森内竜王は、普通の黒いスーツに白いワイシャツ。そのまま告別式にも出られるような渋い服装だった。」
将棋の世界は、新聞各社との契約ゆえ、棋譜はネット上で無償公開されないのが原則である。その原則まで覆そうと改革を試みれば大変なことになるが、少なくとも、こうしたネット上に無償公開されている数少ない棋譜に対してだけからでよいから、一つの棋譜をめぐって、さまざまな棋士やファンが自由に解説や感想を書き込むインフラが出てくるといい。インフラとしてのシステムは単なる掲示板システムの流用などではなく、棋譜というデータの性格をきちんと反映した独特の処理系とユーザ・インタフェースとが内包されたものであるべきで、そのインフラが標準化されて蓄積されていくといい。一つの棋譜から、オープンな環境でどういう派生的(デリバティブ)な価値が生まれるかの実験を、将棋界は新聞社も巻き込んで行なうべきときに来ているように思う。