アメリカ人のフィジカルな強さ

 ワールドシリーズはいつも10月下旬に行われる。野球にいい季節はもう終っていることが多い。西海岸やドーム球場デイゲームならまだいいが、東で行われるナイターはとにかく冷え込む。しかも、全米でなるべくいい時間にテレビ観戦できるよう、試合は東海岸時間の午後8時過ぎに始まることが決まっている。だから試合が盛り上がれば、容易に午前零時をまわる。雨で中止・順延は全体日程に大きく影響を及ぼし、興行的にマイナスだから、少々の悪天候ならば試合は中止せずに決行される。そんな試合は見ているだけで寒くて凍える。
 昨夜の第二戦はそんな試合だった。
 観客席には1917年以来のワールドシリーズ制覇を見ようと、92歳のホワイトソックス・ファンのおばあさんが雨の降りしきる中、ずっと応援を続けていた。気温は華氏45度。摂氏でいえば、だいたい7度くらいか。試合開始直後におばあさんがテレビに映ったが、雨は間断なく降り続いていたので、最後まで見ているだろうかと気になっていた。終盤たいへんな盛り上がりを見せたとき、おばあさんが狂喜する姿がまたテレビに映った。
 アメリカに来て昨日から12年目に入ったが、アメリカ人のフィジカルな強さというものが、僕にはいちばん印象に残る。
 かなり寒くても半そでで平気。炎天下に半日ずっと座っていても平気。雪の中でも雨の中でも文句ひとつ言わずに長いことじっとしていられる。冷えたマックのハンバーガーだけで何日も重労働を続けることができる。そういう人がものすごく多い。
 渡辺千賀は「白人熊説」
http://chika.typepad.com/blog/2003/05/post_3.html
http://www.chikawatanabe.com/blog/2003/05/post_4.html
を唱えていて、

白人熊説、というのがあって(というか、私が言っているだけだが)白人の中には、人間より熊に近い体力の人がいる。これは2001年にフロリダで起こったことだが、8歳の男の子が鮫に腕を食いちぎられる。それを見ていた男の子のおじが、鮫を素手で掴んで岸まで連れて行き、そこで鮫を殺して、体内から腕を取り出し、病院にもって行く。腕は甥の体につけることができた。鮫は体長2メートル強。腕を食いちぎられるという惨状を目の当たりにし、その上で自分より大きな鮫を捕まえて腕を取り戻そうとする、なんていうことができるのは果たして本当に人間なのであろうか。

と書いている。