ボンズ効果とは?

久しぶりにバリー・ボンズの目の覚めるような大ホームランを見た。ワシントン・ナショナルズの本拠地はピッチャーズ・パークで知られる広い球場でホームランが出にくいが、ボンズの打球はそういうこととは次元の違う軌跡を残して外野席上段に飛び込んでいった。
来シーズンはエース格でローテーション入りするはずのS.F.の新鋭マット・ケイン(20歳)が先発。1-0で先行されていた4回表のことだった。これで同点。「ラインナップにボンズ1人いる」イコール「前半で1点差なら大丈夫」という感じがあるのはもの凄く大きい。こういう場面を皆、数え切れないくらい見てきたからだ。
そしてクライマックスは2-1と先行された9回表。ボンズは4人目に回ってくる。相手ピッチャーは元S.F. Giantsのリーバン・ヘルナンデス。投球数は110球を越えていたがリーバンは150球は投げられるDurableな肩の持ち主なので完投を目指す。
誰か一人出れば何とかなる。皆がそう思える状況があるとないとでは大違い。ベテランのオマル・ビスケルが9球粘った挙句に四球で出塁した。さて、2死1塁でボンズである。
ナショナルズフランク・ロビンソン監督がマウンドへ。普通なら四本指を差し出して敬遠を指示するところだが、完投を目指すリーバンをねぎらうために監督はマウンドに向かったのだ。そして捕手を立たせない敬遠、つまり外角にきわどくはずすかたちでの四球でボンズを歩かせた。
そしてアルーが打席へ。首位サンディエゴ・パドレスコロラド相手に大量失点をしていて、今日S.F.が勝てば5ゲーム差に縮まることはだいたい確実になっている。「アルーはこういう場面で打つためにジャイアンツに来たのです」とアナウンサーは絶叫している。
アルーは期待通り、リーバンの初球をレフトオーバーのホームラン。4-2と逆転した。
http://sports.yahoo.com/mlb/boxscore?gid=250920120
得点圏にランナーがいない状況でのボンズへの敬遠は、プライドの高い一流ピッチャーの「心を折る」効果を持っているのである。