ゲーム素人のための米ゲーム産業入門

ゲームする時間なんてない、ゲーム機を買ったこともない。そういうゲーム素人でも、ちょっとは米国ゲーム産業で何が起きているのかを知りたい。何せ巨大産業だ。でも機器の名前も知らん、ソフトの名前も知らん、そういう無知がわかっちゃう質問なんかゲームマニアに対してしようものなら、怪訝な目で見られてしまいます。そういうゲーム素人のための米国ゲーム産業入門としていい長文記事がFortune誌で書かれた。
http://www.fortune.com/fortune/ontech/0,15704,1063256-1,00.html
題して「Sony vs. Microsoft vs. Nintendo: Who Will Win the Next Videogame Battle? 」。何を隠そう、僕もゲーム素人である。よってこのFortune記事をとりあえず鵜呑みにして、書かれていることを要約してみる。記事の細部に、マニアの人にとって違和感があるのは常だろうが、大筋でそんなに間違ったことは書いていないだろうと思われる。ゲーム素人の人はどうぞ読んでみてください。

  • いま「E3 Electronic Entertainment Expo」というコンファレンスがLAで開かれていて関係者がそこに集結している。
  • 市場規模250億ドルの米国ゲーム産業は、三強(Sony, MS, Nintendo)の争いから、Nintendo(Revolution)が脱落し、巨大なR&D予算を持つ二強(Sony:PlayStation 3, MS:Xbox 360)の争いにこれからシフトしていく。
  • でもどの新機種も今年のThanksgivingには間にあわない。一番先に市場に出てくるのがMSで今年のクリスマス。SonyとNintendoは2006年春か夏。
  • ゲーム機の性能が凄くなる分、ソフトを出すほうが大変だ。
  • 三社のゲーム機のプロセッサはどれもIBMが開発している(PS3は3社連合)。「IBM scored a hat trick by developing processors for all three of the next-generation consoles, so no matter which one wins, IBM wins.」
  • PS3の機器性能は圧倒的。機器の性能を引き出すにはHDTVがほしい。いま家庭にHDTVなんかほとんど普及していないが、HDTV2台つないでゲームできる。
  • ただPS3のオンラインゲーム戦略は不明確。音楽や映画のオンライン配信戦略も伝わってこない。ビジネスモデルはあまり変えずに機器性能が恐ろしくよくなるのがPS3なのかなぁ。
  • 特にPS3/Xbox360の登場で大作ゲームソフトの制作費はうなぎのぼり。1本10億円じゃたりない。20億円の声も。よってゲームソフト業界のコンソリデーションは必須。
  • PS3は350ドル以下で市場に出ないと、15-25歳男という主要ターゲットの心をくじくことになるだろう。ちなみにPaly Stationは299ドルのデビューだった。
  • マイクロソフトXbox累計出荷台数は2,000万台を超えた。
  • PS3出荷時にあわせて、MSは、Xbox用「Halo 3」(大ヒットゲームソフトの第3弾)をぶつける。
  • XboxPS3に比べ、ゲーム機単体というよりもより総合的な存在たらんことを目指す。ゲーム以外の機能充実にSonyより意欲的。「Xbox Live」(オンラインゲーム:現在会員200万人)戦略もSonyより意欲的。
  • この2社に比べNintendoはすいぶん落ちる。退潮傾向に歯止めはかからないだろう。「It’s unclear if that will be the name of the slender little box when it comes to market, but whatever it’s called, it’s more evolution than revolution.」Revolutionという名前の製品に本当になるか知らないけれど、製品はevolutionと言うべきものだ。「it’s Game Over in Nintendo’s battle for console leadership.」