RSSとページビュー

3日前に、書く側として「RSSフィードの設定」を「RSSフィードに全文を掲載する」に変え、
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20050515/p1
昨日から読む側として「はてなRSS」ベータ版を使ってみている。
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20050517/p1
それで考えたことを今日はとりとめもなく。
基本的に広告収入を全く意識しないこのサイトでは、経済的な意味でページビューを一喜一憂する必要はない。でも一応どのくらいの人が読んでいるのかということは捕捉しておきたいというのは、書く側としての常である。「RSSフィード全文掲載」にするとそこがよくわからなくなるかなぁとずっと思っていた。ただ一方で、せっかく書くのだから、誰がどれだけ読んでいるかがわからなくとも、少しでも多くの人に届くほうがいいという気持ちもある。後者がまさって「全文掲載」にしてみたのだが、それは、fladdict.net/blogの「RSSはブロガー向けのプレスリリース」
http://www.fladdict.net/blog-jp/archives/2005/05/rss_1.php
を読んで説得された気になったからだった。
確かに4ヶ月前のNDO::Weblogの「RSSフィードウェブ広告にとって善か悪か」
http://naoya.dyndns.org/~naoya/mt/archives/001551.html
で、

RSSとは何ぞや」という話をした直後に寄せられる質問・意見の多くは「フィードを配信することで自社のサイトへのトラフィックが減ってしまう」というもの。(サイトの閲覧がフィードで完結してしまうことにより)トラフィックが減ってしまい、広告収益などが減ってしまうなどなど。そのためフィード配信には消極的にならざるを得ないという話。
こういった問いに対する答えはどうしたら良いものか、と常々考えていました。僕なりに考えた結論としては「フィード配信はウェブサイトの広告収益に貢献する」というものです。

要するに、サイト一つを見た、いかにサイトのトラフィックを増やすという考え方から、インターネット全体を俯瞰的に見て、サイトが持っているコンテンツの価値をいかに伝播させるかということに考え方をシフトさせれば良いのです。
フィードの利点は更新情報、そのコンテンツの価値が即座にリピーターに伝わるということ。従来のウェブに比較して、情報の伝播スピードが速いのです。その分、ユニークな情報を提供した場合に、より早くリンクを獲得することができ、同様の情報を発信しているページよりもはやくリンクを獲得できる可能性が高いという効果も得られます。

このように、RSSフィード肯定論が書かれているのは知っていたが、広告収益という観点から書かれていることもあって、そのときは自分の問題として腹に落ちるという感じではなかった。
それで「はてなRSS」が始まって、ここからのフィードを登録している人が100人以上(今日現在で143人)いることを知り、ほぼ同時に冒頭で紹介したこの「RSSはブロガー向けのプレスリリース」
http://www.fladdict.net/blog-jp/archives/2005/05/rss_1.php
を読んだ。全文引用したいくらいの文章だ。きっとこの筆者は、普通より多めの引用を大目に見てくれそうな方なので、思い切って引用する。

RSSを配信するとサイトトラフィックが減る・・・というのは大きな誤りで、むしろRSS配信を行わないことが情報弱者への転落に繋がるのではないだろうか?
そんなことが最近ちょっと気になっている。
なんかもはやRSSを配信=メリットから、RSSを配信しない=デメリットにシフトしつつあるんじゃないかなぁと。
情報の供給量が需要量を超えつつある現在、「一次発信者から視聴者へ情報をダイレクトに伝達」というのはもはや幻想にすぎないと思う。未読のメルマのように例えダイレクトに送信できても、受け手が受け取った処理しきれないからだ。
だから、昨今のまとめサイトなり、ソーシャルブックマーク(SBS)が大流行なのも、誰もが潜在的に情報をまとめてくれる存在、ファサードクラスやフィルターにあたる装置を欲しているからなんだろう。
で、人々が一次情報源とのアクセスを放棄し、まとめやSBSによる選別された情報に頼るのならば、情報伝達ゲームのルールは1to1のパーソナライズよりも、いかにアルファブロガーに紹介されるか、はてなのホットエントリー化するかと形にシフトしていくのだと思う。露出が多ければ多いほどロングテールとの相性もよいし。

「「一次発信者から視聴者へ情報をダイレクトに伝達」というのはもはや幻想にすぎない」というのは、本当にその通りだなと思う。

で、奇妙な話なんだけれど、実はRSS配信っていうのはユーザーにリーチする為のツールではなく、ブロガーやSBSに情報をリーチさせる為にこそ有効なんじゃないだろうか、とか最近思うようになってきた。
どういうことか?というと、いわゆる一般的な情報リテラシーのユーザーは、そもそもRSSを使わない。むしろユーザーの大部分はブロガーや情報ギークだ。つまり記事を書き、ブックマークを行い、情報のグーグルランクとアクセス経路の拡大をする層こそがRSSの顧客であり、狙うべき層なんじゃないか?っていうこと。
だからRSSはブロガー向けの、プレスリリースと言ってもいい。
そして、このように視点を変換したとき、RSSを配信しないことはリスクに通じる。

このサイトのページビューは、今平均4,000/日くらいである。そのうち35-40%くらいが「ブラウザのブックマーク」などからいきなりこのサイトを訪れるトラフィックで、それ以外はサイトに入ってきてから過去ログをブラブラしたり、はてなブックマークやアンテナやRSSリーダー、どこかのサイトからのリンクでやってくるトラフィックで、全体の60-65%が完璧なロングテール状態になっている。
なるほどこういう実際の数字で考えてみれば、「RSSリーダーで捕捉不能になるのはコアな35-40%の一部であり、そこのページビューは減るかもしれないけれど、捕捉するしないに関わらずまぁどうせその層には届いているんだと腹をくくり、60-65%のロングテール部分を増やすことのほうが重要」というのがRSS肯定論なんだな、と納得したのであった。