メジャーリーグは4月から9月まで162試合の長丁場。6月に入り、だいたい全体の3分の1が経過したことになる。162試合の3分の1である54試合にはたどりついていないチームも多いのは、4月のスタートが今年は少し遅かったのと、雨天中止などがあるからだ。
まずはボストンとニューヨークの対決が注目のアリーグ・東地区。ニューヨークが31勝19敗。ボストンが31勝21敗。この2チームが当然抜けてきて首位争いをしているが、両者の直接対決は全部で19試合ある。うち4月に7試合あり、そこをボストンが6勝1敗と大きく勝ち越した。
逆に言うと、ニューヨークはボストン戦に1勝6敗なのに31勝19敗ということは、他チーム相手に30勝13敗と、約7割の高い勝率で飛ばしてきたことを意味している。ちなみに、ボストンとニューヨークのこれからの直接対決は、6月に2試合、7月に4試合、9月に6試合と、あと12試合ある。プレイオフ並みの緊張した12試合となるだろう。
アリーグ東地区は、優勝争いもさることながら、この両チームが共にプレイオフに出られるかどうか(つまりどこまで高い勝率での首位争いができるか)がカギだが、どうも中地区、西地区の首位争いの迫力を考えると、ボストンとニューヨークのプレイオフ進出はかなりの確率で実現され、両者ともにALDSを勝ち抜いて、去年に続きALCSをこの2チームで争う展開になるのではないかと思う。ならば死闘になるな、今年は。シリングとマルチネスという二本柱がいる分、短期決戦ではボストンに分があると思うが、いずれにせよそうなれば、5-6年に一度の死闘になろう。
アリーグ中地区はシカゴ(29勝21敗)とミネソタ(28勝23敗)の低レベルの争い。西地区はシアトルが脱落したが、テキサスが健闘。アナハイム(31勝20敗)、テキサス(28勝22敗)、オークランド(27勝23敗)が首位争いを続け、最後はアナハイムオークランドの戦いになるだろう。しかしアナハイムは、けが人が多すぎる。地区を制してプレイオフまでは行けても、東地区の2チームのいずれかを破ってのALDS突破は難しかろう。
ナリーグは全体に平準化しているというか、ややレベルが低い。アリーグのボストン、ニューヨーク、アナハイムの迫力に比べると、ナリーグ各地区のトップを走っているフロリダ、シンシナチ、サンディエゴはずいぶん見劣りする。
東地区は、フロリダ(30勝22敗)を先頭に、フィラデルフィア(27勝23敗)、アトランタ(26勝25敗)、ニューヨーク・メッツ(25勝26敗)の団子レース。メッツが頑張って脱落せずについてきているが、どこまでいけるだろうか。やはり最後は昨年ワールドシリーズを制覇した若いフロリダだろう。
中地区は前評判が高かっただけに地区内の星のつぶしあいが厳しく、「プレイオフにシカゴとヒューストンの2チームがいくのではないか」という戦前の予想が達成されるかどうかわからなくなってきている。シンシナチ(31勝21敗)のトップは予想外。セントルイスとヒューストンが28勝23敗で続き、シカゴ(27勝24敗)がそれを追う。ミルウォーキーピッツバーグも健闘しているが、いずれ脱落するであろう。
西地区は予想通りの低レベルの争い。あれだけダメだったサンフランシスコ(26勝25敗)が、首位から1.5ゲーム差とは驚きだ。トップのL.A(27勝23敗)もサンディエゴ(28勝24敗)も決定力はない。
西地区は、残り3分の2の戦い次第でほぼ全チームにプレイオフ進出のチャンスがあるという意味ではアリーグより面白いが、ボストン対ニューヨーク、ニューヨーク対アナハイム、ボストン対アナハイムのような、プレイオフ並みの決戦が存在せず、今年はちょっと残念である。
勝手に予想すれば、ALDSが、ニューヨーク、ボストン、ミネソタアナハイム。NLDSが、フロリダ、ヒューストン、シカゴ、サンフランシスコ。ALCSがボストン対ニューヨーク。NLCSがフロリダ対シカゴ。ワールドシリーズがボストン対フロリダ。でもまぁ、こんなふうに順当にはいかないところが面白いところではあるが。