近藤の帰国、そして、はてな本社の京都移転

近藤が帰国することになってシリコンバレーも寂しくなる。
でも、このたびの大きな決心をした近藤に僕が言ったのは、
「格好悪いけど正しい判断ができるのは、えらいことだよ」
ということだった。
以前も書いたように、近藤はこの地で本当に一生懸命生きた。しかもとてもユニークなやり方で。それを目の当たりにしていた僕も大いに刺激を受けた。むろんまだ彼はその成果を成功に結びつけることができていない。でも何かをつかんだのだろうと僕は信じる。そしてそのあらわれの第一歩が「自ら陣頭指揮して京都でものづくりに専心する」という彼の決心だ。
志は、大きければ大きいほど、そう簡単には実現できない。いちばん大切なことは、志を高く持ち続けて、粘り強く、いつまでもやり続けることだ。ドグマや理念に殉じて無謀な勝負に大きく賭けるのではなく、少しでも成功の可能性の高い方向を求めて、たゆまぬ現実的な試行錯誤を続けることだ。はてなは、そういう勝負ができるよう、近藤がそういう「長い勝負」を続けられるように、短期的な回収を求めるベンチャーキャピタルから資金を入れず、黒字の会社を運営しながら、コツコツと少しずつ内部留保を厚くしながら、現在に至っている。
しかし、高橋暁子さんのエントリーを読んで、まったくそうだなあと思う。

ユーザーからは、経営を心配する声も聞かれます。(→参照
この記事は、ある程度の数のユーザーの心を反映したものだと思うのですよね。
確かにはてなの代表的サービスははてなブックマークであり、そもそもソーシャルブックマーク自体がキャズムを超えていないのは事実です。
はてなダイアリーもいい感じで、ハイクもtwitterとあわせて使われているようですが、それでもユーザーは安心はできないのでしょう。
それは、企業としてのはてなやサービスを深く愛しているからであり、サービスになくなってほしくないからです。

これからのはてなの組織としての行動で、こういうユーザーの皆さんのご心配を払拭していかなければいけない。そして、そのための近藤の帰国でもある。
弾さんも「はてな再上洛」で、

ダイアリーにしろ、ブックマークにしろ、すでに「それがあれば便利」を越えて「それがないと困る」ユーザーを多く抱えている会社でもある。
・・・・・
「これからやろう」としていることだけではなく、「すでにやっている」ことも大事にして欲しい

と書かれた。それは、近藤もそう考えており、だからこのたびの決心をしたものとお考えいただきたい。
僕はこれまで通り、近藤とはてなを、この地から支援し続けていく。