前途ある高校生に書き送った言葉

フォーサイト誌1月号「シリコンバレーからの手紙」(137)に書いた「前途ある高校生に書き送った言葉」が、ネット上にアップされました。

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 帰宅すると、日本の高校生からこんなメールが飛び込んできていた。
「僕は今高2なのですが、今迷っているのは、東大に行くか?それとも留学するか?ということです。東大に行くというのは僕の周りの大人の人たちの言う最善手です。でも大きなスパンで考えてみれば、東大よりも留学したほうが得られるものは大きいし、自分の視野もぐっと広がると思うのです。あと、どちらにせよ、自分がいけると思った時点で起業をしようと考えています。現時点ですでに実現したいサービスのアイデアがかなりの数あり、日々増え続ける一方です。東大に行くのか?留学するのか?それともすぐに働くのか?についていろいろと悩んでおります」
 高校二年生のT君は、この文章に続けて、私の著書から影響を受けたと書いていた。著者として十代の彼に対して責任を感じたこともあり、丸一日かけてこんな文章を書いて彼に送った。
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全文は、新潮社「フォーサイト」誌サイトでお読みください。

さっそくこの文章に、中村孝一郎が素晴らしいエントリー「Gとの一件」を寄せてくれた。こちらもどうぞご一読を。

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たしか俺が博士課程に入った年だったはず。ある日、真夜中を過ぎた頃にノックの音がしたのでドアを開けてみると、蛍光灯が切れた暗い廊下に当時大学3年生のGが立っていた。
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Gは大学の講義の質の低さに幻滅して、友人と起業する計画があるので、そっちに集中するために退学するという。
Gは俺と同じく高専卒の大学編入組。たしかに高専の講義・実験に比べれば、大学の講義はお世辞にもほめられるものではない。しかし、そこを通り抜けて一度大学院に入ると、高専にはない研究生活がある。これが始まると、自分の専門分野というものがはっきりしてくるし、物事を計画して進めるといったようなことも、研究を通して身につけることができる。こういったことや、「修士を出てもまだ24才、起業はできる。でも、一度大学を退学したら、戻りたくなっても、そう簡単には戻れない」、「大学の講義がつまらんならば、自分で図書館で調べて勉強してみろ」というようなことを話した。結局、明け方までいろいろ話して、退学届は出さないということになった。
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