鈴木健著「究極の会議」

会議には誰もが悩まされている。鈴木健は冒頭でこう書く。

できれば、この世から会議を一切なくしたい。

これだけで会議がうまくいくというコツを、「たった一つ」だけ伝授するというのがこの本の趣旨である。たった一つなので、薄い本になった。たった一つなので、どんなコツなのか、もう言ってしまっていいだろう。
「会議はその場で議事録を作るためにある」

たしかに160ページほどの薄い本ではあるが、「議事録ドリブン」という鈴木が提唱する「究極の会議」方法については思想から実践プロセス、各種議事録作成ツールにいたるまで詳述されている。「会議のやり方」を考えたり、会社の中でチームでの「会議のやり方」を変える提案ができ実践できる立場にいる人は、この本を読んでみるといいと思う。
特に、大学生や大学院生で、会議というものに対する先入観念なしに、これからまっさらな気持ちで、進んだネット環境も駆使しつつ、リアルで複数の人たちで協力して何かを生み出すプロジェクト(もちろん会社を起こすのもプロジェクトだ)を始める人たちには、お勧めの一冊だ。

究極の会議

究極の会議

小野和俊がブログでこう書いているように、

鈴木健と組む時はいつも彼がアイデアを考えて、私が実装した。彼の考えたアイデアを形にするのは楽しかった。一緒にやったプロジェクトの一つにIPA未踏ソフトのXMというのがあって、彼は現在、サルガッソーという会社を立ち上げてその時の成果をベースとした、会議のためのソフトウェアの事業を手がけている。先日鈴木健から送られてきた「究極の会議」という本は、彼がここ数年取り組んできた、より良い会議を行うための方法と、最後に少しソフトウェアが紹介されている本。

薄い本だけれど、ちょっとした思い付きで適当に書かれた本ではないし、中身が濃く、じっくり読むと得るところが多いと思う。
毒舌の小飼弾ブログ

「役に立つ」が「面白い」とは言えない

と書いているが、「面白い」というよりも「役に立つ」タイプの本だな、たしかに。
また、彼が開発したASP型の支援ツール「SARGASSO XM」の紹介は少ない。あまり多く書きすぎると、この本が自分のソフトウェアの紹介ばかりになって我田引水になってしまうので控えたのだろう。興味のある人はこちらをご参照
あとちなみに、本書の中で参照されているグーグルの会議術の原文「How to Run a Meeting Like Google」はこちら。
ちなみに、グーグルがこのツールを使って会議をしているというわけでは、まだない、たぶん。