生きるために「読み」 「書くこと」で生きる
フォーサイト誌5月号「シリコンバレーからの手紙」(129)に書いた「生きるために「読み」 「書くこと」で生きる」
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/web_kikaku/u129.html
が、ネット上にアップされました。
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『遠い太鼓』は、四十歳を迎えた村上春樹が、自らの三十代後半を振り返って書いた自伝的エッセイでもあり、独立の意志を固める時期にちょうど三十代後半にさしかかろうとしていた私には、年齢的にも共感し、影響されるところが大きかった。
「四十歳というのはひとつの大きな転換点であって、それは何かを取り、何かをあとに置いていくことなのだ、と。そして、その精神的な組み換えが終わってしまったあとでは、好むと好まざるとにかかわらず、もうあともどりはできない。(中略)それは前にしか進まない歯車なのだ。僕は漠然とそう感じていた。(中略)だからこそそうなるまえに、――僕の中で精神的な組み換えが行われてしまう前に――、何かひとつ仕事をして残しておきたかった」(同16頁)
「何かひとつ仕事を」というほど明確なものは見えていなかったが、四十歳になって「精神的な組み換えが行われてしまう」前に、いったい自分に何ができるのかを確かめたい、一人になったときに自分の身に何が起こるのかを見てみたいと、私は強く望んだのだった。
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