「オープンソース開発者の7割がヨーロッパ」は本当?

Software Onlyの「Ballmer on Stage, at the annual Microsoft VC Summit」
http://blog.softtechvc.com/2005/05/ballmer_on_stag.html
を読んでいたら、バルマーとの質疑応答の一部が載っていた。目を引いたのは、

Statistics report that there are 2M Open Source developers, 70% Europe, 70% under 25. Entire generation "lost to capitalism" ?

という質問。「世界中で200万人いるオープンソース開発者のうち70%がヨーロッパ、やはり70%が25歳以下」だけれど・・・と、あたかもこれが常識かのように質問の前置きに使っている。へぇー。こんな数字、聞いたことなかったけれど、これはオープンソース世界の常識なんだろうか。
リーナス・トーバルズフィンランド出身だし、ヨーロッパにはソフトウェア関係の面白い仕事もアメリカに比べて圧倒的に少ないから、ヨーロッパの若者たちがオープンソースの世界に流れ込むのはロジックとしてはよくわかる。でも世界全体の7割がヨーロッパと言われるとちょっと驚く。
情報ソースは何なのだろうとちょっと調べてみたが簡単に見つからず、「はてな人力検索」質問初体験をしてみた。一日以内で出た回答結果がこれ。
http://www.hatena.ne.jp/1116169906
もっとたくさんの回答を待ったほうがいいのか、ここまでの迅速な回答に感謝してポイントを割り振って終了にしたほうがいいのか、まだ人力検索リテラシーが足りないのでかなり悩みつつ、後者を選んで質問終了とした。
教わったのは、2つのサーベイ結果である。回答者morningrain氏の「オープンソース開発者の国籍を聞いた調査です。2002年にヨーロッパを中心に行われたものです。」という解説が付されていたこのサーベイ
http://www.infonomics.nl/FLOSS/floss1/stats_35.html
は、2208人回答のうち1557人がヨーロッパである(今、電卓で数えてみた)。この数字がちょうど70%である。ひょっとするとこの「2002年にヨーロッパを中心に行われた」サーベイの数字が一人歩きしているんだろうか。ちなみに日本人は3人しか回答していない。
もう一つのサーベイは、「こちらは2003年にアメリカで行われた同じような調査。国籍の割合が出ています。」との解説付き。
http://www.stanford.edu/group/floss-us/stats/q42.html
スタンフォードの調査だ。ではこちらはアメリカにかなりバイアスがかかるかと思いきや、1458人回答のうち752人がヨーロッパ(西欧)である。52%。ちなみにアメリカは322人の22%である。加えてロシア・東欧が162人。ここまで加えれば60%以上になる。ちなみに日本人の回答は4人。
この2つのサーベイから読めることは、「世界中のオープンソース開発者のうち70%がヨーロッパ」はちょっと多すぎるかもしれないけれど、確実にアメリカよりもヨーロッパのほうが多い。西欧単独だと少し届かないかもしれないけれど、ロシア・東欧まで含めると世界の開発者の半分以上にはなる、という感じかな。
事実誤認等あれば、またその他の統計数字をご存知の方あれば、ご指摘いただけると大変有難いです。