• ボストン・レッドソックスの今年の強さは尋常ではない。アナハイムを2勝0敗と追い込み、3戦目も6回裏まで6対1でリードし、ボストンに温泉気分が漂い始めたとなると野球は恐ろしい。アナハイム主砲・ゲレロの満塁ホームランであっと言う間に同点である。しかし、ここからのボストンが強かった。普通はこの流れだと、3戦を落とし、下手をすると4戦も落として、敵地アナハイムの決勝戦まで持ち込まれるというようなことが容易に起こる。それで最後は勝ったとしても、ALCSに行くまでにかなり消耗する。そんな筋書きが見えつつあった10回裏。オーティスのサヨナラ本塁打であっさりと3連勝。同点になった直後の「温泉気分からの切り替え」は見事だった。その切り替えにこそボストンの充実を見る。
  • 地味なことだけれど、10回に登板して勝ち投手になったボストンのローテーションの一角Loweは、2001年までクローザーだった投手なので、延長戦に入ったとき長いイニングを任せられるのが強い。ブルペンとクローザーを使い果たした後の延長戦をどう戦うかというのは、将棋で言えば150手を越えた手将棋のようなもの。真の実力が出る。こういうところでヤンキーズは最後の最後に勝つチームなのだが、今年はボストンも相当強い。先に萎えたほうが負けの延長戦で、Loweが出れば、さぁあと何回でも延長やろうぜ、というような勢いが出る。
  • ずっと眠っていたニューヨーク・ヤンキーズは、ボストン3連勝の報で、完全に眠りから覚醒した。きっちり実力通りにミネソタに連勝し、力を温存したままALCSに進出。ボストンのALCS進出が決まり、「ボストンといい状態で対決したい」という「ひりひりした感覚」がチームに戻ったのだ。
  • 火曜日からのボストン対ニューヨークこそが、今年の真のワールドシリーズである。
  • 今年のメジャーリーグは、ボストン、ニューヨークの二強がここで対決するというクライマックスを迎えるためにあったのだ、と言うべきだろう。十年に一度・必見の7戦である。
  • NLCSのほうはそれに比べると4チームとも非力だ。セントルイスもLAでの3戦目はいいところなく敗れた。今日明日の4-5戦で、ヒューストンまたはアトランタと、セントルイスNLCSに進出して、両チームがNLCSでいい戦いをする中で今よりも調子を上げていき、その勝者が、消耗著しいALCSの勝者と戦う。そんな流れになって初めて、本当のワールドシリーズが盛り上がるだろう。でも、やはりどう考えても今年の「真のワールドシリーズ」は、火曜日からのボストン対ニューヨーク戦である。