5月31日から続いていたS.F. Giantsのロードゲーム14連戦が、ボルチモア3連戦で終了。7勝7敗で何とか乗り切った。アリゾナコロラド、タンパベイ、ボルチモアと転戦して、なおかつ間に一日も休みがないというのはかなり厳しいスケジュール。ちょうどこのロード14連戦に入る直前のジャイアンツは9連勝中。連勝のあとの連敗が最も悪いわけだが、そうならずに踏ん張ったのは評価したい。ただ、勝てる試合を2つは落としてしまったけれど。
このボルチモア3連戦は消耗戦の総力戦であった。金曜日が雨で中止となったおかげで、土曜日がダブルヘッダで、しかも2試合とも延長戦。2戦目が終ったのが午前1時過ぎで、3戦目は午後1時半から始まる日曜日のデイゲームで、その試合終了後に、そのまま飛行機で西に向かうのだから、きつい。
http://sports.yahoo.com/mlb/news?slug=knight-giantssplitdoubleheaderwi&prov=knight&type=lgns
「At nearly 1:30 a.m. EDT today, Barry Bonds sat in the Giants' clubhouse and evaluated 23 innings and 8 hours, 16 minutes of baseball this way: "We had chances. They had chances. By the 12th, we were all delirious."」
土曜日は2試合あわせて23回。8時間16分。見ているほうも疲れたが、やっているほうはもっと疲れただろう。
しかし、この3連戦で素晴らしかったのは、ボルチモアのカムデンヤードの観客である。
土曜日の第2戦で、連敗したくないボルチモアは、ボンズに対して4連続敬遠を含む5四球を与えた。インターリーグの試合でボンズを見る機会など滅多にない(これが最後かもしれない) カムデンヤードの観客は、チームの敬遠方針に対して強い怒りを、観客席から表明した。
そして、日曜日の第3戦。ボンズの大活躍(2ラン・ホームランとタイムリーヒット)でジャイアンツは勝ったわけだが、観客の強いプレッシャーゆえに、塁があいていたにもかかわらず、敬遠はせずに、ポンソンがボンズに勝負に行った。ボンズのホームランもタイムリーも、そのポンソンの初球を叩いたものだった。
ボンズの見事なホームランに、観客は、ボルチモアが逆転されたにもかかわらず、ものすごいスタンディング・オベーションで応えた。
野茂がノーヒットノーランを対オリオールズ戦で達成した瞬間のカムデンヤードの観客の盛り上がりぶり、野茂への心からの称賛をテレビで見たとき、メジャーリーグの観客は本当に素晴らしいなと思ったものだが、今日も同じようなことを感じた。特に、カムデンヤードの観客が素晴らしいのは有名。いつかカムデンヤードで試合を見てみたいものだと思う。

ジョージ・ウィルは、「野球術」の中で、野球都市ボルティモアをこんなふうに描いている。
リプケンほど野球と密着した少年時代を送った人は、まずほかにいない。それに、ボルティモアほど野球と相性のよい街はほかにいくつもない。ボルティモアブルーカラーの街だ。鉄やソーセージはもとより、野球チームさえスクラップをあつめてつくりあげる伝統がこの街にはある。だからといって、できあがったチームが屑というわけではない。なかには、すぐれたチームもいくつかあった。ボルティモアは、アメリカが代表する野球都市の名に値する---そう言っても過言ではないと思う。」(下巻P171)