棋聖戦第五局観戦記

(1)コンピュータ将棋には指せない手を指して勝つのがトッププロ
私は、ある対象に惹かれ、でもその素晴らしさが広く知られていなかったり、構造の複雑さゆえに一般にあまりその魅力が認識されていないとき、この手で何とかしてみたいと、いつも心がうずく。自分が面白い、楽しいと感ずる気持ちを、一人でも多くの人に伝えたいと思って、居てもたってもいられなくなる。そして文章を書く。シリコンバレー、無から有のベンチャー創造、アントレプレナーシップ(起業家精神)、グーグル、ウェブ進化が社会を変える可能性。専門の世界で私は、出合って惹かれた魅力的な対象に対し、二十年にわたってそんなことをやり続けてきた。
昨年の夏頃から、さまざまな有難い出会いや勝負の帰趨に誘われて、私は将棋と棋士の世界にどっぷりと浸かることになった (拙著「シリコンバレーから将棋を観る」)。ここ数年働き過ぎた反省から、昨年春、モノを書くことについてのサバティカル(長期休暇)に入ったはずなのに、私は、対象となるテーマを、現代将棋、羽生善治、トッププロの在りよう、棋士の人間的魅力、といったことどもに変え、まったく同じことに没入してしまったようなのだ。どうにもこれが自分の性分であり、抗いようのない傾向なのだと、自分でも思う。そして、新潟での棋聖戦第一局から約一ヶ月の間を置いただけで、第五局・最終局が行われる道後温泉にやってきた。最終局の開始は、あと5時間後に迫っている(いまは一人で午前4時の控え室にいる)。
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どうぞご一読ください。
http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/5/index.html
http://sankei.jp.msn.com/culture/shogi/shogi.htm