棋聖戦第一局・新潟に行きます。羽生木村戦のウェブ観戦記を書くために。そして第五局があれば・・・・・

今週後半から休暇を取って日本に行き、来週火曜日(9日)に新潟で行われる棋聖戦第一局のウェブ観戦記を書きます。ちょうど一年前、同じ棋聖戦第一局、同じ新潟の高島屋で、佐藤羽生戦のウェブ観戦記を書いたことが、さまざまな奇跡的な偶然の連なりを歩く旅の最初の一歩となり、それが「シリコンバレーから将棋を観る」につながりました。
さて今年の羽生善治棋聖木村一基挑戦者の五番勝負は、昨年に勝るとも劣らない、現代将棋最高のカードの一つであると言ってよいと思います。
木村さんの近来の充実ぶりは圧倒的で、直近の7タイトル戦の挑戦者争いにおいて、

  • 昨夏の王座戦挑決に勝って挑戦
  • 竜王戦挑決に進出(1-2で羽生に敗れる)
  • 棋王戦挑決に進出(1-2で久保に敗れる)
  • 名人戦A級順位戦最終局まで挑戦権に絡み(郷田挑戦)
  • このたびの棋聖戦挑決に勝って挑戦
  • そして今夏の王位戦の挑決に進出した(挑決は橋本戦)

リーグ入りできなかった王将戦をのぞく6棋戦のすべてで挑戦権を争うというのは、すさまじい充実ぶりです。
明日からは秋田で名人戦第五局。去年も感じたことですが、六月の名人戦棋聖戦のダブル・タイトルマッチはスケジュールが過密で、羽生さんは本当に大変だろうと思います。昨年は、

羽生さんが、棋聖戦第一局の翌週に名人戦第六局(六月十六〜十七日)を戦って名人位を奪取、十九世名人(永世名人)の称号を獲得した。そして移動日をはさんだその二日後(十九日)、橋本崇載七段との王位戦挑戦者決定戦に勝って王位挑戦を決め、さらに棋聖戦五番勝負では「二連敗の後三連勝」の大逆転で棋聖位を奪取していた(七月十八日)のである。二冠だった六月十一日から数えて三十七日後に四冠となり、しかも始まったばかりの王位戦第一局でも挑戦者・羽生勝ちと、そのあまりの勢いを見た世間が、十三年ぶりに「羽生七冠」が誕生するのではないかと色めきたち始めていた。(「シリコンバレーから将棋を観る」第四章)

という具合で、この過密スケジュールのさなかに羽生さんが勢いをつけていったけれど、さて今年はどんな夏になるのだろう。
昨年の棋聖戦は第一局佐藤先勝。前々から予定を立てていたわけではなかったので、二勝二敗で第五局・最終局まで行ったのに、観戦のために日本に来ることができず、無念に思っていました。
今年も大熱戦で最終局まで行くことを祈念しつつ、もし第五局があるのなら、道後温泉までその勝負の帰趨を観に行けるよう、日本での時間を確保しました。

羽生 やっぱり、将棋の本当の楽しさを味わうんだったら、リアリティと結びつけるのは大事なのかもしれませんね。将棋によって、人生を左右してしまう(笑)。
梅田 「将棋を観ていて、どちらかが勝つと、人生が変わる」。そんなふうに転がっていくんですもん、どんどん(笑)。(同第七章)

というふうに今年もなっていくでしょうか。