梅田望夫×まつもとゆきひろ対談「ウェブ時代をひらく新しい仕事,新しい生き方」(前編)

まつもとゆきひろの起こした小さな奇跡---梅田望夫氏の著書「ウェブ時代をゆく」の中の節のタイトルである。「時代の巨大な変化の中で個人がどう生きるべきか」をテーマにしたというこの本の中で,Rubyを生み「オープンソースで飯を食う」生き方を実践するまつもと氏の生き方に,梅田氏は何を見い出したのか。梅田氏とまつもと氏が,インターネットがもたらす新しい時代の新しい仕事,新しい生き方を語る。
(司会:高橋信頼=ITpro/矢崎茂明=日経ソフトウエア,写真:室川イサオ)

まつもとゆきひろさんとの対談「ウェブ時代をひらく新しい仕事,新しい生き方」(前編)がアップされました。後編は明日。どうぞお楽しみください。
このたびの日本出張での「ウェブ時代をゆく」に関連する仕事の選び方については、この本のテーマでもある「個」ということに僕自身ものすごくこだわった。
じつは僕は、この機会に、本対談の司会役(インタビュアー)をつとめ対談原稿をまとめてくださった高橋信頼さん(ITpro)と、何か一緒に仕事をしたかったのだ。本ができあがる一ヶ月ほど前に、僕は高橋さんに日本出張の予定を知らせるべく連絡を取った。それで、彼がまつもとさんとの対談を企画して即決、まつもとさんも快諾されて島根から上京、そしてこのたびの東京での対談とあいなった。
あっという間の充実した二時間で、まつもとさんから「もう一回やろうよ」という提案が出るほどで、さらにまた来年一月にこの対談の続きをやることになった。
なぜこのたび、僕は高橋さんと何か一緒に仕事をしたいと思ったか。
去年の九月に、吉岡弘隆さんと二人でやったイベントに高橋さんが来られたとき、イベント終了からまもない時間帯(深夜)に、そのイベントの記事がITproにアップされたのだ。異例の時間帯でのアップに僕も驚いたしブロガーも驚いた。そして高橋さんからメールをもらった。

ブロガーたちが感想をアップするより前に、自分は記事をアップしたくて、そうした。組織の一員としての立場にあぐらをかくのではなく、一人の個としてブロガーたちと「記事を書くことが好きだ」という一点で自分は競争する、そういう気持ちでこれからもやっていきたいと思う。

言葉の表現は少し違っていたかもしれないが、こんな主旨のすがすがしいメールだった。たしかにこのイベントの報告に関しては、ブロガーたちとの勝負は、高橋さんの勝ちであった。ああなるほど、大組織の中でも、こういう心根でやっていけば、大組織の強さと個の強さをブレンドすることで、新しい生き方が追求できるのだな、とたいへん感銘を受けたのだ。

ウェブには字数制限はありませんから、思い切り全部載せます

対談終了直後に、高橋さんは力強くそう言った。対談原稿が数日前に届いたとき、その分量に驚いた。だから前後編・分載となった(前編だけで11ページにわたっている)。
というわけで、タイトルとなった「ウェブ時代をひらく新しい仕事,新しい生き方」には、「好きを貫く」高橋さんの生き方も含まれているのだ。