ウェブ上に最新の最高の手術指導書が構築できる

本を書き、その感想を読み続けることで、毎日僕は、本当にたくさんのことを学んでいる。そのすべてをとてもではないがこのブログで紹介できないのだが、今日はid:wada-san(外科医)のブログ「「ウェブ時代をゆく」から考えたこと」をご紹介したい。
「自分の人生にあてはめ」て僕の本を読んでくださり、こんなことをお書きになった。広く多くの人に読んでほしいと思ったので、少し長いが引用させていただくことにしたい。

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手術のやり方にも、この権威がはびこっていて、必ずしもいいとは言えない方法が、偉い大学教授がやっているというだけで素晴らしいと信じられていたり、教科書に載っていたりします。

しかし90年代以降、内視鏡手術が登場して状況はだいぶ変わりました。

権威のある老獪外科医は、この新しい手術はできませんでした。かわりに若い外科医がどんどんこの分野のリーダーになっていったのです。そして多くの分野で内視鏡外科手術が普及するとともに、立場が逆転してしまったのです。つまり外科領域では手術に関して名もない若い外科医の主張が通るムードが醸成してきたのです。

そこで、今のウェブの技術を利用すると、ウェブ上に最新の最高の手術指導書が構築できると思うのです。

世界中の外科医が、いいと思う手術の動画像をウェブ上に自由に載せ、それを見た外科医がratingするのです。

多くの外科医が参考になる、あるいはいいと思えば上位にランクされ、評価されない手技は下位に落ちる、そんなことが自動的にできるといいと思います。

そもそも内視鏡外科手術はテレビ画面をみてやる手術なので、すべて画像が残されているため、ウェブ公開に親和性が高いといえます。

難しい手術にはコツがあって、載せるのはコツの部分だけでいいと思います。手術を数分〜30分程度の細切れにして、パーツごとに評価されるべきでしょう。

優秀な外科医の手術であっても、いい部分と悪い部分がありますから。

そのようなサイトでは何十、何百という手術方法について、それぞれパーツごとに動画がアップされて、評価の高い順に並んでいれば、これはまさに手術の教科書になるでしょう。しかも絶えず最新です。

さらにいい点は唯一の術式ということではなく、数多くある方法から、自分に合う(患者に合う)方法が探せることと、権威とは関係なく「けものみち」のいい手術も出てくることでしょう。
自分にウェブ・リテラシーがあれば、そんなサイトを自分で作ってしまうところですが、このあたりは、コラボレーションが必要そうです。

手術の世界には、「好きを貫いている」外科医が山ほどいます。多くは高く険しい山には登らずに、けものみちを楽しんでいます。登山をしなくても楽しく「飯をくっていける」からです。

しかし、そのような外科医の技術を眠らせておくのはもったいない話です。

最高の手術データベースを構築して、多くの外科医の叡智を共有すれば、PubMedのように、患者さんの治療に役立つ空間となるでしょう。

詳しくは是非、もとのブログをご参照ください。
こんな素晴らしいことに、われこそは、自らのウェブ技術を応用してみたいと思う人は、id:wada-sanにコメント欄などで連絡を取られてみたらどうでしょう。
追記。コメント欄以外で直接コミュニケーションをとるには、wada-sanの当該エントリーをはてなブックマークでブックマークし、はてなポイントを10点とか適当に送信する。そのときの送信に付随するコメント欄で連絡先のやり取りなどをするといいと思います。