家日和(奥田英朗著)

おかしくて切ない、〈在宅〉小説誕生!

というコピーで、家に居ることが好き、つまり〈在宅〉好きの僕は思わず注文。本が届いてすぐ一気にこの六篇の〈在宅〉短篇小説を読んだ。
中でも「ここが青山」「家においでよ」の二篇がとても印象に残った。
夫の会社が倒産してまもなく妻が働き始め、夫が主夫となったとき、妻や自分の周囲に起こるさまざまな変化に、主夫が何を感じ始めるのか(「ここが青山」)。別居を決め妻が出て行ったあとの部屋を、夫が「自分の城」に改造していくと、出て行った妻や周囲は何を感じ何が起こるのか(「家においでよ」)。常識からの逸脱が生む新しい環境が、あんがいわくわくするような新しい世界である可能性を、この二篇で著者は鮮やかに描いているように思えた。また全六篇の細部から「日本の現代」が垣間見られて、とても楽しい読書だった。

家日和

家日和