9/1(金)東京、対談イベント「「シリコンバレーのビジネス風土」と「オープンソースの思想」」

2006年9月1日(金)夜、東京で、対談イベント:「「シリコンバレーのビジネス風土」と「オープンソースの思想」」を開催します。8月10日頃から書店に並ぶ拙著「シリコンバレー精神」(ちくま文庫)の刊行を記念したイベントでもありますが、本ブログ読者との「ささやかなオフ会」という意味合いもあります。
当日は、長年の友人でもある、ミラクル・リナックス株式会社取締役CTOの吉岡弘隆氏をお招きし、シリコンバレー精神、シリコンバレーのビジネス風土、オープンソース思想などについて、約一時間、話し合います。その模様はビデオ撮影して、翌9/2(土)までにYouTubeにアップする予定です。
もうご存知の方も多いと思いますが、吉岡さんのブログはこちら二つ。
http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/
http://blog.miraclelinux.com/yume/
僕がCNET Japan連載時代に吉岡さんについて書いたものがこちら。
http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001104.html

対談イベント:「「シリコンバレーのビジネス風土」と「オープンソースの思想」」

  • 2006年9月1日(金)
  • 時間:19:00-20:00(その後、懇親会あり)
  • 場所:東京都内(赤坂周辺)
  • 会費:懇親会費用(実費)として1,000円〜2,000円程度(当日受付にて徴収させていただきます。領収書の発行は致しません。)

このイベントに、本欄の読者の方を抽選で50名、ご招待します(2月の「ウェブ進化論」刊行記念イベントのときは、会場の制約から「抽選で6名」でしたが今度はぐっと枠を広げました)。参加ご希望の方は、8月10日までに下記サイトからお申込みください。
http://umedaconf.jpn.org/

本ウェブサイトの応募フォームのみから受け付けます。
8月20日以降、抽選による当選者のみにメールにてイベントの詳細を発送させていただきますので、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

当日は第一部(19-20時)が対談、第二部(20時過ぎから1時間半)が懇親会と二部構成になっています。
第一部の収録内容についてはもちろんのこと、第二部の懇親会での話題もすべて、原則としてブログで何を書いてもいい(音声、映像もOK)、というルールにしようと考えています。

シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土 (ちくま文庫)

シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土 (ちくま文庫)

目次


文庫版まえがき

本書は、一九九六年秋から二〇〇一年夏にかけてのシリコンバレーを、私の経験をもとに描いたものである。世界の片隅にあって小さく輝いていた「天気のいい田舎町」が、インターネット時代の到来とともに世界経済に大きな影響を及ぼす存在となり、その後のネットバブル崩壊で苦しみ、そこから立ち直ろうと必死の努力を始めるまで、五年間の物語である。
 「月に一通」と決めてこの時期に書いた「シリコンバレーからの手紙」が、『シリコンバレーは私をどう変えたか』(新潮社)という一冊にまとまり、二〇〇一年八月に出版された。文庫化にあたり、本書は、本文への加筆修正はせず、「文庫のための長いあとがき――シリコンバレー精神で生きる」を増補した。そして「シリコンバレー精神」という考え方を提示する「長いあとがき」を基点にし、本書を構成するそれぞれの「手紙」へ、ネット上のリンクをたどるかのように読める本にし、「シリコンバレー精神」と改題した。
 通常の本のごとく最初から順に読む場合には、すでに私たちが「次の五年間」(二〇〇一年秋から二〇〇六年夏)を過ごし、シリコンバレーのネットバブル崩壊の焼け跡でグーグルという怪物が育ち、ネットの世界、情報の世界に革命的変化を引き起こしたことを、頭の片隅に置いておくとよいかもしれない。本書では、わずか一箇所にだけ、まだ何ものにもなっていない頃のグーグルが出てくる。グーグルが水面下で未来を構想していた頃に、私を含め、世の中は、誰に注目し、どんなことに悩み、何に一喜一憂していたのか。現在から近過去を振り返ってそんな読み方をしていただくと、次代の担い手たちが今も世界中のどこかに必ず居て、未来について私たちとは全く違うことを考えているはずだ、という想像力が生まれるのではないかと思うのだ。

プロローグ

I シリコンバレーの基本を体感する
天才たちが富を創り出す「天気のいい田舎町」/失敗しても返さなくていいお金/氏名欄が空白になった名刺/目に見えないメジャー・リーグ/日本人が少ない理由/「産学一体」の伝統が息づくスタンフォード大学/人生のギアがぜんぜん違う/「第四の林檎」を生み出せなかったアップル/「運」と「偶然」が左右する「就職先選び」/ガレージで発達したコンピュータ産業/「雇用思想」の日米落差/ここならではの「流儀」/待ち時間ゼロ、驚きの病院体験記/経済システムの「セリエA」化

II ネット革命とバブル崩壊同時代体感的ネットバブル考察
不動産事情はまるでバブル期の東京/米国ならではのインターネット革命/生まれつつある極端な「貧富の差」/日本再生のキーワード「EXIT Strategy」/日本のバブルとは違う、米国経済は強靭/生涯に一度訪れるかどうかの機会/日本のベンチャーにはなぜ限界があったか/ネット革命の現状への違和感を超えて/IT革命の真の姿/見直される「ゲームのルール」/株主指向経営への違和感/脱皮を始めた電子立国・日本/ネットバブル崩壊後のVCとVBの行方/質的変化を起こしたベンチャー投資の量的拡大/米国は更なる競争社会へ、避けがたい「苦い味」/ナスダック下落の裏側/いまだ正解なきIT革命の本質

III マイクロソフトリナックス
最も変わったのはベンチャーより大企業/「勝つこと」に執着するマイクロソフト/キーワードは「無料の功罪」/なぜゲイツは司法省と和解しないのか/「無料OS」登場の衝撃/マイクロソフト独禁法違反裁判の本質/Linux開発の創始者、その意外な素顔/Linux創始者が語った「本音」/ナードの価値/マイクロソフト裁判、ビル・ゲイツの本心/ソフトウェアに賭けるビル・ゲイツ/資本主義に飼いならされたLinux/「邪魔は許さない」ゲイツ徹底抗戦の論理

IV シリコンバレーは私をどう変えていったか 
価値を生み出すのは会社ではなくて個人/「変化していく自分」を楽しもうという気分/どんなことでも起こり得る場所/独立や起業を支える「インフラ」/自分の中からどっと流れ出ていく金/あわただしく、のんびりした時間の流れ/「独立」と「起業」はどう違うか/アーリー・リタイアメントのゴール/揺らいだ電子立国・日本/ニュー・エコノミー側に賭ける/新しい冒険の「ほんの始まり」/ジャングルの掟/創業者チームとの創造的対決/正真正銘のベンチャー・キャピタル/シリコンバレーは青年期から壮年期へ/ネットバブル崩壊をもう半年早く予感できたか

文庫のための長いあとがき: シリコンバレー精神で生きる

「どうも何か大きな変化の真っ只中にいるようだ。でも具体的に未来がどうなるのかは全くわからない。」
そんな環境下で、私たちはどう生きるべきなのか。
限られた情報と限られた能力で、限られた時間内に拙いながらも何かを判断しつづけ、その判断に基づいてリスクをとって行動する。行動することで新しい情報が生まれる。行動する者同士でそれらの情報が連鎖し、未来が創造される。行動する者がいなければ生まれなかったはずの未来がである。未来志向の行動の連鎖を引き起こす核となる精神。それが「シリコンバレー精神」である。
今がそこそこ平穏なら変化などしたくないと誰しもが思う。「次の十年」に限っていえば、別に変化しなくても大丈夫だろうという考えはたぶん正しい。それ以降はどうかだって? そんな先のことはわからないよ。だから、考えたって仕方ない。いまは動かなくてもいいんだ。未来の姿が見えるのを待ってからでもぜんぜん遅くないさ・・・。そういう考え方の対極に「シリコンバレー精神」がある。
私は十二年前(一九九四年秋)にシリコンバレーにやってきた。「シリコンバレー精神」が空気のように充満するこの地で、私は本当に変わった。
・・・・・・・

シリコンバレー精神」とは/そのときグーグルは何をしていたのか/未来を創造する営みが水面下で続けられていた歴史/起業家主導経済にバブルやモラルハザードの発生は必然/「シリコンバレー精神」だけがメカニズムを補強できる/活況を呈したシリコンバレーでまたバブルが起こるか/「シリコンバレー精神」でモノを書く/「二〇〇一年秋から二〇〇六年夏」のこと/その後の私