「ウェブ時代 5つの定理」文庫版が2月10日に発売されます。

新春のお知らせです。
ウェブ時代 5つの定理」が急きょ、文春文庫として文庫化されることになりました。

ウェブ時代5つの定理 (文春文庫)

ウェブ時代5つの定理 (文春文庫)

昨年の政権交代以降「成長よりも分配」が「時代のテーマ」になりましたが、そろそろきちんと成長について考えるべき時なのでそのための「考える素材」をいま提供したい、との出版社の判断で、単行本発売から二年弱という異例のスピードで、文庫化が決まりました。
本書は、タイトルにシリコンバレーという言葉こそ入っていませんが、シリコンバレーについて書いた僕の二冊目の本です(一冊目は「シリコンバレー精神」) 。日本人がシリコンバレーから学び得るとすればそれはいったい何なのか。シリコンバレーに住んで、そのことを考え続けて十五年が過ぎましたが、この本を書き終えて、シリコンバレーについて日本に向けて書くべきことのエッセンスは書き尽くした、そんな気持ちを持ちました。
何年もかけて経験したことや考えつづけたことを凝縮して一冊に詰め込む本を、僕は自分の中で「真水(まみず)の本」と呼んでいます。本来、「真水の本」というのは、どんなに頑張っても4年か5年に一冊くらいしか書けないものです。シリコンバレーに94年にやってきてから2000年までの経験は「シリコンバレー精神」にまとめました(これは「真水の本」を書くにはちょうどいいペース)。そして続く三冊の「真水の本」としての「ウェブ進化論」「ウェブ時代をゆく」「ウェブ時代 5つの定理」を書くことに、05年から07年のほぼすべてが費やされました(振り返れば一年に一冊のペースはちょっと無理をしすぎたと思います。モノを書く仕事を、集中してし過ぎました。反省)。
そしていつかまた「真水の本」が書けるよう、さらにしばらく充電を続けるつもりです。
このたびの文庫化に際して、改めてこの「真水の四冊」を読み返してみましたが、日本の若い人たちに僕が届けたいと思ったメッセージは、やはりこれらの四冊に全部入っていて、いま特に付け加えることはないと思いました。
分配の話は確かに重要だけれど、そればかりでは日本も行き詰まってしまう。そう感じ始めている新しい読者と、本書が新しい環境下で出会えることをたいへん嬉しく思っています。
文庫版の解説は、僕の著作の中ではこの本がいちばん好きだと言うグリー(株)創業者の田中良和社長が書いてくれました。ありがとうございました。