産経新聞への寄稿: 「量が質に転化する瞬間」

6月23日付け産経新聞朝刊一面に寄稿した、「量が質に転化する瞬間」という文章が、ネット上でも読めるようになりました。羽生善治十九世名人(永世名人)の誕生を記念して書きました。
http://sankei.jp.msn.com/culture/shogi/080623/shg0806230330000-n1.htm

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 羽生は将棋の世界の情報について、グーグルは世界中のすべての情報について同じことを目指しているからだ。同じこととは、「量が質に転化する瞬間があるはず」という仮説の検証である。羽生は、高速道路の先の大渋滞を抜けることと「量が質に転化する」ことは深くかかわってくるはずだと、最近いつも私に言う。そして、この仮説をめぐる何らかの事象は、社会が変化するよりも先に、限定的空間である将棋の世界でピュアな形で発現するに違いない。羽生はそんなことを考えながら、厳しい勝負の日常を生きているのである。
 羽生は17日に名人位を奪取し、十九世名人(永世名人)の称号を獲得。前人未到の「永世7冠」も射程に入った。ある時代に登場するリーダーの特質は、その時代の性格を映すものだ。天才的研究者の資質と、未来の洞察に優れたビジョナリー能力を兼ね備えた、羽生善治という稀有(けう)な日本人が、他の世界にではなく将棋界に現れたことは、情報化社会たる現代という時代を象徴しているといえるのだ。

全文はMSN産経ニュースでどうぞ。