Gファイル

「プレジデント」誌連載中から、単行本化を楽しみにしていた本。
届いてすぐ、面白くて一気に読んでしまった。
1994年から1997年まで長嶋茂雄監督を「黒衣の参謀」として支えた河田弘道を描くノンフィクション。

長嶋茂雄と黒衣の参謀 Gファイル

長嶋茂雄と黒衣の参謀 Gファイル

この本を読むと、巨人の、そして日本の野球の何が問題で、何故ここまで凋落したのかがよくわかる。いま日本の一流のプレイヤーが次々とメジャーに行くが、腹に落ちてそれが納得できる本だ。
1994年10月8日。本書の中でも描かれる、ナゴヤ球場で行われた巨人と中日による同率での130試合目の最終決戦は、僕が渡米する直前に日本で最後に興奮しながら見た試合だった。そしてこのオフに、日本中のブーイングを受けて野茂が渡米して、ストライキで94年ワールドシリーズが中止になり人気が落ちていた米メジャーリーグ入りを目指した。野茂は、ストライキ明けの翌1995年からドジャーズで大活躍することになる。
それから10年以上が過ぎ、日本の野球の風景は大きく変わった。10年というのは、いろいろなことが大きく変化するのに十分長い歳月なのだと思う一方、10年経っても「何も変わらない」こともたくさんある。打ち捨てられたように「ある部分」は何も変化しない。そういう環境の中にいると、10年はあっと言う間に過ぎていってしまう。