はてなの思想

umedamochio2005-09-29

(株)はてなの取締役になって半年が経過した。ちょうどいい機会なので、新しいロゴ、そして昨日発表した「トップページをリニューアルしてのポータル化」に絡めて、「はてなの思想」めいたことについて考えてみたいと思う。リニューアルされたトップページ
http://www.hatena.ne.jp/
を見てほしい。
画面の右側(3分の1)には、はてながユーザ(個)に対してどういうサービス(便益)を提供しているのかが一覧されている。
はてなのルーツは人力検索であり、これまでのトップページは、ほぼ人力検索のトップページそのものだったから、ポータルという意味合いで「はてなのトップページ」を意識していた人は少ない。よって今回のリニューアルも、もともとアクセスしたこともない「はてなのトップページ」がリニューアルされたからって「それがどうした(So what)?」というのが一般的な反応だろう。
はてなは、人力検索をルーツに、アンテナ、ダイアリー、ブックマーク、フォトライフ、グループ等、次々とサービスを充実させてきて、さらにこれからもサービスを品揃え・強化していく中で、その「サービスの総体」がいったいどういうものか、ということを表現し始めなければならない段階に来ている。「サービスの総体とは何なのか」ということ自体が進化し続けているというのが僕の印象でもあるのだが、今の段階では、ネットの「あちら側」に情報を置いて利用する「知的生産のためのスイート」というか「総表現社会におけるプラットフォーム」みたいなものを志向していると言って、そう大きな間違いではなかろうと思う。
つまりユーザ一人ひとり、つまり「個」に対して、はてなが提供できること、これからやっていこうと考えていることが、リニューアルされた「はてなのトップページ」の右側(3分の1)で表現されているわけである。
そして、画面の左側(3分の2)の部分は、サービスのユーザ(個)が増えてきたときに、それが「全体」としてどういう価値が生み出し得るのかということについての「はてなの思想」めいたものが現れている。
上から目につく順番に重要なフレーズをピックアップしてみれば、「キーワード検索」「注目のキーワード」「最近の人気記事」「質問アクセスランキング」「注目の写真」・・・となるが、すべてに共通することは何か。それは、ネット世界全体で今何が「旬」なのかということについてのユーザ(個)の意見が集約されて、某かの自動的な秩序を構築しようと意図していることである。
たとえば「注目のキーワード」とは、ダイアリー「全体」を見渡して最近よく使われているキーワードを自動的に浮かび上がらせることができれば、皆がそのことについて語りだすような何か、つまりネット「全体」での「旬な話題」が何か、がわかるはずという考え方に基づいている。
また「最近の人気記事」も、ユーザ(個)によってブックマークされたスピードや数に応じて「全体」としての「人気記事」ランキングを自動的に導き出すわけである。「雑誌の中刷り広告」を、ブックマーク・ユーザ(個)の投票によって、リアルタイムで自動的に出し続けているようなイメージである。人力の「質問アクセスランキング」も同様の考え方に基づく。
今はまだユーザ(個)の数が足りなかったり、ユーザ(個)に偏りがあったりするから「ネット全体」の理解と言うには不具合や偏りがあるが、これからだんだんにユーザ(個)の数や分布性能が上がっていくにつれ、「全体」の価値も自然に高まっていくはず、という思想が前提にある。さらにネット世界とリアル世界が融合していけば、ネット全体の理解がリアル世界全体の理解と近づいていくという思想もベースにある。
「個」に対しては「知的生産のためのスイート」ないし「総表現社会におけるプラットフォーム」を提供する、そしてそれと同時に、はてな「全体」を眺めることで、ネット「全体」(つまり世界全体)の「今」をより正しく理解しようと試み、その結果を再びユーザ(個)に還元していく。こういう永久運動体を運営し続けていきたいという意志が、今の段階において「はてなの思想」と呼んでいいのではないかと思う。「個」が「全体」のためにワークし、再び「全体」が「個」のためにワークする循環を生み出したいのである。
新しいロゴについては、こんな説明がある。http://hatena.g.hatena.ne.jp/hatena/20050928/1127894741

ロゴマークでははてなのイメージカラーとなっている青色を用い、直方体が積み重なった中にクエスチョンマークが埋め込まれている様子をモチーフにしています。自由に組み合わせて遊ぶことのできるブロックのように、様々な便利ツールを組み合わせて楽しく使えるはてなのサービス全般を現しています。
はてなではトップページとロゴマークの大幅リニューアルをきっかけとし、初心者を含めたより多くのユーザーにご利用頂けるサイトを目指して行きたいと考えています。分かりやすく親しみやすいサイト作りを目指しながら、これまで通り先進的な機能をいち早くお届けする開拓者としての姿勢を両立し、より多くの皆様にご活用頂けるよう取り組んでまいります。

積み重なる直方体は次々に生まれるサービス群をイメージすると同時に、奥へ向かって段々とブロックを積み上げていく様(階段を上っていく感じ)は、この「はてなの思想」に基づく「前進」や「成長」を表現したいという意志の現れである。