何でもオープンにすることについて

はてなでは開発合宿が恒例になっている。合宿という意味にもいろいろあるが、かなり厳しい「体育会の選手の合宿」という意味が近いように、横で見ていて思う。しかし合宿から帰ってきて「合宿で作りました」と書きつつ、
http://d.hatena.ne.jp/jkondo/20050609/1118312703
http://d.hatena.ne.jp/higepon/20050609#1118316773
http://d.hatena.ne.jp/naoya/20050609/1118324303

さて、今日は二つほど大きな update をしました。1つははてなアイデアの株式市場化、それからははてなブックマークのデザイン編集機能とかモジュールとかもろもろ。これらは二つとも合宿で仕上げました。
イデアid:jkondo が、ブックマークは僕がそれぞれ3日篭って仕上げました。アイデアは証券市場を模倣するだけに、さまざまな計算要素が入ってきて結構実装が大変そうでした。id:jkondo は、そのときその株を持っている人全員から価格を聞いてほげほげみたいな処理をするのに「Visitor パターンが...」とかぶつぶつ言いながらしかめ面でコーディングしていました。
一方の僕は、デザイン編集機能。まずは HTML マークアップを改善するところから始めて、そのマークアップに併せてデフォルトのスタイルを定義し直し、かつ XSS 脆弱性を出さないようにヘッダ、フッタ、スタイルシートの編集機能を乗っけつつ、いくつかのモジュールを用意してプレビュー機能を載せる。それからこの辺の機能に伴うバグをいくつか修正し、タグ一覧の表示に新しいアルゴリズムを加える。すでに他のサービスで一度はやったことがあってある程度は使いまわしができたとは言え、これ全部をやるとなると相当な分量でした。平日のオフィスで3日じゃ、無理だなあ、合宿効果はすごいなとあらためて実感しました。(ちなみに UNIX USER の次の記事も合宿中の早朝と晩に書き上げました。)
あれ、まだ id:jkondo と僕しか登場してませんね。id:higepon 含め、もう何人かも一緒にいってたわけで。ということで、まだもう一つか二つ、近々リリースできると思いますのでお楽しみに。(naoya)

なんて、合宿から帰った翌日に新しい機能をリリースしている。
http://hatena.g.hatena.ne.jp/hatenaidea/20050609/1118308022
http://hatena.g.hatena.ne.jp/hatenabookmark/20050609/1118307710
こういう重要な内部事情をどんどん外に向けてオープンにしていく発想が、はてなのユニークネスの中で最も不思議なところである。これは容易に真似できることではない。ある種の狂気と言ってもいい。
だいたいなぁ、ある機能を実装するのにどれだけ工数がかかったのかというようなことは秘匿すべき内容だ、というのが旧来型の常識なんだよ。
読んでいてはらはらする。
それが正直なところである。
でもそれは、そう骨髄反射してしまう僕のほうが古臭くて間違っているのだ、とあるときから考えることにした。
ゼロベースで考えたときに、こうした重要な情報をコミュニティに向けてオープンに開示していくことによって生まれるプラス(競争者等に対しても自然に開示されることによるマイナス分を差し引いたプラス)と、大抵の情報は「何でもかんでも秘匿しておけばとりあえず問題なかろう」(大企業は全部そういう考え方をする)と皆が自己規定することで情報が全く流通・発展していかないマイナスを天秤にかけたとき、トータルで見たときにプラスのほうがずっと大きい(インターネットの時代には特にそれが際立つ)と近藤は考えているわけだ。「近藤のこの世界観は誤っている」が現代の常識である。ただ「そのときどきの常識が未来永劫正しいとは限らない」は歴史が証明するところでもある。でも常識にただ挑戦すればいいってもんでもない。そこがベンチャー創造の面白くも難しいところなのである。
とまぁ、僕もはてなの皆に刺激されて、「こういうことは社内Blogで書くべきことなのかなぁ」と自問するような内容をあえてここで書いてみました。