ロングテール論について

トラックバックをいただいた
http://asakura.g.hatena.ne.jp/asakura-t/20050309
ので、簡単に補足しておこうと思う。
ロングテール論は、ミクロに見たときに「マスからニッチ」へのシフトが起こるというような話ではない。マクロに見たときに、「マスの集積」よりも「ニッチの集積」のほうが市場が大きく、ネット事業ではリアル世界とのコスト構造の違いから、その「ニッチの集積」を効率よく追求可能になった、ということを論じているものだ。マクロに「ニッチを集積する」ことはネットなしにはできなかったし、大組織のコスト構造では相変わらず「ニッチを集積する」ことは収益性という観点からできない。ミクロに見たときにニッチがマスと同等の価値を持つ(そういうケースも稀にはあるかもしれない)とか、ニッチがマスになれる(そういうケースも稀にはあるかもしれない)とか、そういう議論ではない。
ミクロに見たときの意義は、これまでは限りなくゼロに近かったものがSomethingにはなるかもしれない、ということだ。AdSenseやAffiliate収入が好例で、このSomethingも、月に500円のうちは大したことないと思うわけだが、それが5,000円に、さらに50,000円にとなっていけば、だんだんと意義が大きくなっていく。そういう方向への展開が全体として予見できるところにロングテール論のミクロに見たときの意味がある。