CNET Japan連載を終えての感想(1)

CNET Japan連載をやってみて初めて実感したこと。それはネットの向こう側にいる人たち一人一人の教養の深さ、知識の広さ、発想の豊かさ、頭の良さ、文章能力の高さ、それぞれの専門について語るときの鋭さであった。
それであるときから、高校時代の教室をイメージするようになり、16-17歳なのにあんな凄い奴がいたな、こんな凄い奴もいたな、と思い出し、そういう奴らが、それから3年、10年、20年、30年という歳月を過ごし、そして今ネットの向こう側にいるんだな、人が一人生きているということはそれだけで凄いことなんだな、と思うようになった。
10年以上いろいろなところに文章を書いてきたけれど、紙媒体だと、どんなに部数が出ている新聞、雑誌でも、直接の反応というのはほとんどない。編集者が褒めてくれたり、アドバイスをくれたり、というだけである。それが無数の読者を代表する意見だというのが暗黙の約束事になっている。インターネットだって、ROMの割合が99%以上だが、反応者が1%以下でも読者の絶対数が増えると、かなりのボリュームになる。それを読み続けながら、ネットの向こう側に高校時代の教室をイメージすることができたとき、僕の中で何かが変わっていったように思う。
「失礼だな」と思うコメントやトラックバックがなかったといえば嘘になるが、そういうのを読むと、自分の若い頃を思い出して恥ずかしくなった。若くてもがいているときには、大したことない奴が偉そうにしているのを見ると、無性に食ってかかりたくなる。相手が自分よりちょっとでも何かが劣っているとわかった瞬間に、挑戦してそれを証明したくなる。世の中間違っているぞ畜生、と心の中で思うからだ。
そんなこともあわせて、ネットの向こう側の人たち一人一人、つまり読者一人一人に敬意を抱き、モノを書くときは謙虚にならなくちゃいけないなぁとより強く思うようになった。これがCNET Japan連載を続けて得た、僕にとっての最大の収穫だった。