Entries from 2007-06-01 to 1 month

今日の短編(16) イーサン・ケイニン「アメリカン・ビューティ」

映画とは無関係の作品。それぞれに問題を抱えた二十七歳の兄と十九歳の姉と暮らす十六歳のまともな僕。父親は失踪して不在。母親と、その家に入り浸る母の友達を加えた、五人の緊張感に満ちた日常が淡々と描かれる。 兄貴は僕に、すごく大事なことをお前に教…

今日の短編(17) ウラジミール・ナボコフ「怪物双生児の生涯の数場面」

怪物双生児の短いが強烈な印象を残す一人語り。若島正新訳でナボコフ作品を読むと何かまったく新しい「日本語による不思議な作品」と接しているような感想を持つ。 たとえば冒頭でいきなりどきっとして引き込まれてしまう文章。 東洋の薔薇とも、白頭翁アヘ…

今日の短編(15) レイモンド・カーヴァー「愛について語るときに我々の語ること」

構想に一年ほど時間をかけ、この三ヶ月はそれだけに集中して没頭していた大きな仕事が終わった。あとは微調整だけだ。なんか終わったら世界の色が違って見える。ずっと頭の中が泥の海を這いずり回っていたからだろう。 この「短編小説」というカテゴリーは、…

将棋講演会「プロの最新戦法と名人戦七番勝負を総解説」

勝又清和六段がパソコンを使って懇切丁寧に最新戦法について詳解!ぜひご参加下さい。 4時間以上をかけて、じっくり解説します! 行きたいなあ。東京に住んでいたらなあ、と思う瞬間。DVD化希望。

海外に住んでも母国語中心に生きること

シリコンバレーに移って約一年という若い友人と話をしていて、ウェブ進化とグローバリゼーションの結果、海外に住んでいても「情報についてはネット」「食材などのリアルな物についてはグローバル物流」のこの十年の異常なまでの発展によって、「海外に住む…

「羽生」(保坂和志著、光文社知恵の森文庫)

この本が届いたらすぐに読み、その感想文を「黙殺された名著がここに蘇った」と始めようと思っていた。そうしたら「文庫版のためのまえがき」冒頭で著者保坂和志が、 実際、九七年に出版されたときにも、一般の新聞雑誌ではいろいろ取り上げてもらったが、将…

フューチャリスト宣言や茂木さんのことやはてなのことなどを酔っ払いながら書いてみる

なんとなく気が向いたので、酔っ払いながら、思ったことを思ったままに書いてみる。 今日は久しぶりに、茂木健一郎さんのブログから、講演等の音声の最近の分をまとめていろいろダウンロードして、聞くとはなしに聞こえてきた話に耳を傾けていた。 「フュー…

はてな取締役会音声、社員に全部公開した

先週は月曜午後から土曜朝まで、シリコンバレーではてな取締役会合宿。オフィスの会議室で、近藤の家で、カフェで、車の中で、食事をしながら、毎日毎日、はてなの経営課題について議論し続けた。 ベンチャーの毎日は一喜一憂、一進一退が当たり前。そんなマ…

サバイバルという言葉が嫌いなら使わないで話そうか

Rich Chen(ex-Google、Hatena Inc.取締役)と「はてなの経営」について話をしていると、彼の「グローバルな発想」からいつも新鮮な刺激を受け、学ぶことが大きい。それは彼がアメリカ人だからではなく「英語圏のネット世界」に「住むように暮らしてきた」から…

生きるために「読み」 「書くこと」で生きる

フォーサイト誌5月号「シリコンバレーからの手紙」(129)に書いた「生きるために「読み」 「書くこと」で生きる」 http://www.shinchosha.co.jp/foresight/web_kikaku/u129.html が、ネット上にアップされました。 ・・・・・・・ 『遠い太鼓』は、四十歳を迎…

サバイバルって当たり前のことなんじゃないの

僕の「座右の銘」は、アンディ・グローブの「Only the Paranoid Survive」(極度な心配性だけが生き残る)という言葉。サバイバルっていう言葉は、ちょっとざわざわするから、わざと使っている。 それで、なんかサバイバルという言葉に極端に「嫌だ」って感じ…

サバイバルのための人体実験を公開すること

ネットイナゴ問題については、はてなブックマーク開発者id:naoyaのダイアリーを基点に皆さんと一緒に考えていくことになります。僕もときどき参加します。 さて、僕が何かを書くと「ポジティブだ」という意見を述べる人がいる。誰が何をどう読みどう思おうと…

最近つくづく思うこと

たとえば小林秀雄や司馬遼太郎といった故人の作品を読み返すとき、彼らはネット上に溢れる無数の読者の「作品に対する感想や批判(ときには罵倒)」を読む機会を得なかったんだなあと思い、現代に生きる幸福を痛感する。 ネットは社会全体を相手にするのだから…

He is more playful!

初夏の気持ちよい夕方、住宅街をジャックと散歩していたら、ある家の前で一人で佇んでいたそばかすだらけの細身の少年が、はにかみながらも意を決したように「ねぇ、ペットしてもいい?」と僕に聞いた。「ペットしてもいい?」というのは、ジャックをなでたり…

刊行記念特別対談「始まりとしての「フューチャリスト宣言」」

東京で行った記者会見の日に追加で行った対談の内容が、 http://www.chikumashobo.co.jp/special/futurist/talk/ にアップされました。フューチャリスト宣言 (ちくま新書)作者: 梅田望夫,茂木健一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/05/08メディア: 新…